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MORNING TALK

朝の心

最高の宝

2012.10.26
朝の心

 その昔、達磨大師という人がいました。彼にはこんなエピソードが残っています。
達磨大師はインドのある王家の末っ子として生まれました。彼が幼少の頃のある日、王である父を有名なお坊さんが訪ねてきて、宝玉を見せました。王をはじめ、周りにいた者は皆、「おぉーこれはすごい。立派な宝だ」とほめたたえます。しかし、幼い達磨だけが「いやちがう」と否定したのです。そこでその宝をもってきたお坊さんが、達磨に「なぜ立派ではないと思うのか」と尋ねると、達磨は次のように答えました。「この宝は火や水などによって変質してしまうだろうし、誰かに盗まれることもありましょう。本当の最高の宝というのは、火や水によっても変わったりなくなったりせず、盗賊に盗まれもしないものだ」と。そこでお坊さんは「まさにその通りだが、そんなものがどこにあるのか?」と反問します。すると達磨は、自分の胸とそこにいた人々の胸をさしながら「ここにもそこにもある」と答えたというのです。

 試験の前や試合の前日、皆さんと会って「がんばれ!」と励ますと、「もう駄目です」とか「絶対に勝てません」などといったあきらめの言葉が返ってくることがあります。もちろんそれは、厳しい現実を見据えての発言でしょうし、謙遜して答える場合もあるでしょう。しかし、やる前からそう決めつけたり、あきらめたりするのはどうなのでしょうか。
 先ほど紹介した達磨大師のエピソードは、「真の宝とは自分の中にある」とするものです。その宝にまず自分が気付かなかったり、自分自身が信じなかったりすれば、よい結果をもたらす可能性は低いでしょう。そして宝が宝として輝かないでしょう。

「世の中に失敗というものはない。チャレンジしているうちは失敗はない。あきらめた時が失敗である」という言葉は、京セラなどを創った日本の実業家・稲盛和夫さんの言葉です。
何事も最後まであきらめず、頑張っていきましょう。

写真
写真は華道同好会 緒方華那さん(2−C)の作品

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