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MORNING TALK

朝の心

伊東マンショの生き様

2012.11.23
朝の心

先日,伊東マンショ没後400年の記念式典が行なわれました。ミサやコンサートなどを通して,伊東マンショについてのさまざまな説明がなされたのですが,その中でわたしは次の点が最も印象的でした。それは,伊東マンショは天正遣欧少年使節団の一員としてヨーロッパに渡るという偉業を成し遂げたにもかかわらず,彼が日本に帰国し,そしてキリシタン弾圧という厳しい状況の中で苦労して神父になって以降,イエズス会の報告書などの記述に伊東マンショに関するものが極端に減っているということでした。たとえば,山口には一人も司祭がいなかったので変装した一人の神父が,迫害から逃れるために潜んでいる信者たちのもとへ行き彼らの世話をしたという報告書が1611年に書かれていますが,その「一人の神父」の名前は記されていません。しかし,当時そこへ行くことができた可能性のある神父は,伊東マンショただ一人でした。なぜ報告書に名前が記されなかったのかは分かりません。しかし,それは遣欧使節としての名声を求めず,歴史に名前さえ残さない伊東マンショの謙虚でひっそりとした生き様を象徴しているようだということでした。
伊東マンショ没後400年という記念すべき年にあたり,わたしたちも伊東マンショについて関心を持ち,そして名誉や地位を求めず,常に謙虚に自分の役割をしっかりと果たしていった彼の生き様から多くのことを学びたいと思います。

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