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MORNING TALK

朝の心

歩み寄り

2019.03.19
朝の心

先日、あるボランティアで子どもたちを相手に遊ぶ機会がありました。5歳の子どもたちが大きな段ボール箱をいくつか持ち出し、中に入って車よろしく一人ずつキャーキャー言いながら乗り回しています。すると一人の子が別の遊びをしに行ったのか、段ボール箱が一つ空きました。別の男の子がそれを使って遊んでいると、もとの男の子が戻ってきて、それを返せと言います。でも使っていた子は「僕が見たとき使っていなかったんだから、もうしょうがない」と言い返します。すると元の子は「お前、うるせーよ!」ときつい言葉を吐きましたが、使っていた子は「お前なんて言葉を言っちゃいけないの!」と応戦。「お前、どけよ!」「もうしょうがないの!」・・・こんなやり取りを続けている5歳児たちがどんな結末に向かうのか気にはなったのですが、別の用事があって、しばらくそこを離れました。戻ってみると、何と面白いことに、二人とも同じ段ボール箱に入っているではありませんか。そして元々使っていた男の子が「ねえ、狭いよ」とぶつぶつ文句を言っていました。なんだか、私はほほえましく思ったのでした。

お互いの利害がぶつかるとき、人によってその対処法にはいろいろ差がありますね。無理やりに自分の思うとおりに物事を進めようとする人、いろいろ裏で画策して、相手を退けさせようとする人、争いを恐れて自分から身を引く人。

でも、こんなときに忘れてはいけないのが、お互いの誠実な「歩み寄りへの努力」ではないかと思います。相手は何を望んでいるのか、自分は何を求めているのか、お互いがより満足できる何か別の方法は考えられないのかを、率直に話し合う。これが交渉というものです。時間はかかりますが、互いに納得いく結論が得られるなら、そこに平和が訪れるのです。

世界の中では、色々な国の間で交渉が行われています。私たちの間でもそうでしょう。ここで見習わねばならないのは、子どもたちの率直で、でも冷静な話し合いの姿です。その結果として、たとえ狭くても同じ一つの段ボール箱を共有することになっても、それはそれで楽しいものかもしれません。

自分と意見を異にするものを排除するのではなく、互いに歩み寄る心の広さを持ちたいものです。

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