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MORNING TALK

朝の心

ヨセフの正しさ

2020.12.17
朝の心

もうクリスマスまであと一週間となりました。マタイ福音書のイエスの誕生はマリアの夫ヨセフに注目して描かれています。

マリアとヨセフは婚約していたもののまだ正式には結婚しておらず別々に生活していました。マリアはその間に神の霊の力によって神の子イエスを宿したのですが、第三者から見れば夫と一緒になる前に妊娠したという大事件です。彼らの律法によれば、そのような女性は石打の刑によって処刑されることになっていました。ヨセフはマリアのことを思い、そのような刑から彼女を守るために、周りに知られぬよう「ひそかに縁を切ろう」としました。そのようなヨセフを聖書では「正しい人」と表現しています。その後、ヨセフは天使のお告げに従って、マリアを妻として迎え、イエスが誕生します。

学院の卒業生である聖書学者の山下敦神父(大分教区)は聖書における正しさ、正義というものを「人を裁き傷つけ、排斥するようなことはせず、むしろその人をやさしく包み、癒すことさえしながら真理に導いていくもの」である、と解説しています。(『カトリック生活』[2020年4月号]参照)

私たちの周りには、ある正しさを主張して、誰かを集中的に非難する「叩く」という風潮があります。コロナウイルスの流行の中で、県外ナンバーの車や、時短営業の要請に従わないお店を、ひたすら非難する「自粛警察」と呼ばれる人たちも現れました。

「正しさ」を追求することは人間として当たり前のことです。しかし、その「正しさ」が容易に、誰かを傷つけるためだけのものになってしまう危険があるということなのでしょう。私たちの主張する正しさが、自分だけのことを考え、他の人を傷つける冷たいものになってはいないでしょうか。本当の正義とは他の人のことを思い、助けようとするあたたかさである、ということを聖ヨセフはクリスマスストーリーの中で教えてくれています。

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