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MORNING TALK

朝の心

つながりを感じる人

2021.05.15
朝の心

始業式の時、「動的平衡」について話したことを覚えていますか?私たちの体は分子レベルではいつも入れ替わっているけれど、でも同じ「自分」を保っているということでした。まるで、川の水はずっと流れているけれど、その川の姿は変わらないような感じです。どうやって同じように保っているのか。『動的平衡』の著者の福岡先生は、それは「細胞と細胞の〈つながり〉が変わらずにあるからだ」と言っています。つまり、細胞同士が〈つながって〉お互いを補うように働くから、体はバランスを保っているのです。

少し前の話になってしまいますが、うれしい電話が学校に入ってきました。

4月22日の夕方、宮崎神宮駅の駐輪場で、ある方が自転車を倒してしまいました。ドミノのように10台ほど倒れてしまったそうですが、それを起こしている姿を見た学院生の2人がすぐに寄ってきて、起こすのを手伝ってくれたそうです。本当に感謝されていました。

こんな生徒がいる学院を本当に誇りに思います。

皆さんの中にも同じような体験、誰かに助けられた体験を持っている人は多いでしょう。もし、この2人が「自分とは関りがない」と、自転車を倒してしまったその人と自分との間に「つながり」を感じなかったら、サッと行って手伝うという行動には出なかったでしょう。

聖書の中でイエス・キリストは「善きサマリア人」という有名なたとえ話を語っています。強盗に襲われて大けがをして倒れている人を見て、ある人は厄介なことに関わらないようにとその場を立ち去ったけれど、一人のサマリア人は気の毒に思って、すぐに近寄り、傷の手当てをして宿屋まで運び、宿賃までも払います。

このサマリア人は大けがをしていた何の関係もない人に「つながり」を感じたのでした。「つながり」を感じたからこそ、放っておけない、助けなければと自然と体が動いたのでした。

コロナ禍にあって、私たちはつながりを持ちにくい世の中にあると言われます。そんなときだからこそ、自分には関わりがないと思えるような場面でも、「つながり」を感じられるような学院生であってほしいと思います。

実はこの「つながり」が、私たちの社会の傷をいやす薬になっていくのです。

IMG_5126_trimmed.jpg(一昨年の中学体育祭より)

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