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MORNING TALK

朝の心

“医は国境を越えて・・・”

2005.04.26
朝の心

 今年最初の朝の心です。朝一番のこの静かな一時、私たちの周りのいろいろな問題を一緒に考え、瞑想していく時間にしていければと考えています。さて、今日は最近私が読んだ本から命の問題を考えてみたいと思います。それは、中村哲著の「医は国境を越えて」と題する本です。この著者は九州大学、医学部を出られたお医者さんで、17年間もパキスタン、アフガニスタンで医療活動に従事しておられる方です。まだアフガニスタンの領有を巡ってアメリカとソ連の対立の続いていた時代、ボランティアの医療チームに加わってその地を訪れたのがきっかけで、政治や思想、宗教の対立に翻弄されながら戦火の中、次々に運び込まれる患者を見過ごすことができずに、現在に至るまでそこに留まり医療活動を続けておられます。戦争、旱魃、飢饉、伝染病など住民を襲うありとあらゆる不幸と向き合いながら、設備や医療機器、器具も満足に無い極限状況の中で命との戦いを続けておられます。最先進の設備と技術、最高のスタッフを揃えた豊かな国では何千万円ともいわれる高価な命がやりとりされているというのに、貧しい国ではわずか220円のキニーネという薬さえも買えずにマラリアの高熱に苦しみながら死んでいくたくさんの命があるのです。数千万円の命と220円の命とは全く同じ価値を持つ人の命なのにどうしてこのようなことになるのでしょう?矛盾を感じずにはおれません。日本のお金で2000円もあれば一家族10人の人が1ヶ月生活できるのに、今日の食料さえ買えない人々が何百万といるのです。中村哲医師は世の中の矛盾や命についての高尚な理屈を考える暇もなく、アメリカの爆撃下のアフガニスタンで、今日も目の前の患者を相手にしながら医療活動を続けておられます。皆さんの中には将来、医療関係の大学に進みたいと考えておられる人がいます。命を扱う仕事がどんなことであるのかをしっかりと学び、考えましょう。

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