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MORNING TALK

朝の心

“いのちのまなざし”

2005.04.26
朝の心

 一ヶ月ほど前のことです。私の知人から突然悲しみの電話が入りました。
「娘のクララが息を引き取りました。祈ってください。」クララちゃんは生まれて3週間で自分の人生を締めくくったのです。
実はお母さんのお腹のなかににいるときから決して生きることのできない難病にかかっていることが分かり、お医者さんからは生まない方が良いと言われておりました。
しかし母親はどうしても産みたいと言って聞きませんでした。
母体にも無理がいくから辞めた方が良いと言われても産むと言って聞きません。
母親は言います。「このままお腹の中で別れてしまったら、この子と私は親子の対面をすることもなく、名前も呼ぶことなくお別れしなければなりません。
いつか天国で会った時に、『お母さんですよ』と名乗ることもできなければ、名前を呼んでやることもできないでしょう。そんなことはとても耐えられません。たとえ一分でも良いから親子の対面をし、『私がお母さんですよ』とお互いの顔を焼き付けておきたいのです。
そして出産し、クララという名前をつけ、親子の対面を果たしたのです。一度も家に帰ることもなく、3週間だけの人生ではありましたが、確かにこの世にしっかりと自分の名前を記しました。
そして今クララちゃんは天国でいつかお母さんと再び会える日を待っているのです。
小さないのちが驚くほど軽く扱われ、親からさえ虐待されている話しが次々に知らされる今ごろ、何とすばらしい話しでしょう。電話の向こうの声は悲しそうでしたが、確かに愛情に満ちた母親の声でした。
私たち一人一人の命のまなざしにしっかりと目を向けて見ましょう。

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