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MORNING TALK

朝の心

“別れに強い人”

2005.04.26
朝の心

 春はよく希望の季節と言われますが、同時に別れの季節でもあります。日本に住むわたしたちは、3月には卒業、進学、就職、引越しなどで多くの別れを経験します。そして、大切な人と別れるのは本当につらいものです。ところで、人との別れは誰もが経験するものですが、人によって別れに強い・弱いがあるようです。では、その差はいったいどこからくるのでしょうか。精神科医の町沢静夫さんは、別れに強い人の特徴として2つのことを指摘しています。1つは、別れのときに思い切り感情を吐露して嘆き悲しむことです。ちょっと意外な感じもしますが、別れのときにいろいろな理由付けをして自分を納得させてしまう人よりも、その場で思い切り泣く人のほうが別れに強いのだそうです。涙を流すことは、悲しさを乗り越えさせる大きな働きをもっているとも言われています。時には、自分の素直な感情を思いっきり表現することも大切なのです。もう1つの特徴は、人との心のつながりを大切にしていることです。表面的な付き合いだけをしているほうが別れはつらくないような気もしますが、決してそうではありません。大切な人との心のつながりは、重要な生きがいの1つとなります。そして、そのように深く結ばれている人との別れは確かにつらいものですが、しかし町沢さんは言っています。「それは本当の別れではなく、自分の心のすみにその人をしまい込んだだけ」だと。真の交わりを知る人は、そのような別れ方ができるのです。大切な人との別れは、誰もが避けることのできないつらいものです。しかし、人との心のつながりを大切にしていくことで、わたしたちもその人を心のすみにしまい込むような別れのできる、別れに強い人になっていくことができるのです。

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