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MORNING TALK

朝の心

「マニック・ディフェンス」

2005.04.26
朝の心

 みなさんは、心に残る言葉を1つだけ思い浮かべてくださいと言われたらどんな言葉を思い浮かべるでしょうか。いっぱいありすぎてなかなか1つを選べない人もいるでしょうし、突然聞かれても思いつかない人もいるでしょう。実は私も思いつかない人の一人で、今あるところから「忘れられない言葉」というテーマで原稿を求められているのですが、何を書こうか本当に困っています。高校校舎1階の廊下には、書道部の人たちが書いたすばらしい言葉がならんでいますが、ああいう立派な言葉をパッと閃く人は本当にすごいと思います。

さて、私が心に残る言葉としてパッと閃いたのは、残念ながらとても記事にはできそうにない『マニック・ディフェンス』という言葉でした。これは大学で心理学を学んでいたときに出会った言葉で、以来とても印象に残っている言葉です。『マニック』とは躁鬱の躁の状態、『ディフェンス』は防衛・防御、つまり簡単に言うと『マニック・ディフェンス』とは表面的にニコニコすることによって自分を守ろうとする姿勢のことです。本当は嫌な思いをしていても、言いたいことがあっても、いつも我慢して本当の自分を出さずにニコニコといい人を演じてしまう。人に受け入れられたい、嫌われたくない、傷つきたくないという欲求がそうさせるのですが、それを続けると、いい人ではいられても肝心な自分を見失ってしまいます。大学という知らない人ばかりの環境のなかで不安を抱えて勉強を始めた頃の私には、なるほどと思わせる言葉でした。

まわりの人を安心させること、喜ばせることはとても大切です。しかし、自分が思ったことや感じたことを素直に適切に表現し、それに対する周りの反発や抵抗に上手に対処していく能力もとても大切です。そのような能力をもってはじめて、この世界で自分を無理な我慢から解放し、自分を上手に表現していけるようになるのだと思います。

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