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MORNING TALK

朝の心

蛍の光

2015.03.12
朝の心

 中国を西晋という王朝が治めていたころ,車胤(しゃいん)という青年がいました。彼は勉強熱心でしたが,家が貧しく灯りをともすための油を買うことができなかったため,蛍をたくさん捕まえて袋に入れ,その光で勉強しました。同じころ孫康という貧しい青年は,外に降り積もった雪にわずかな月明かりが反射しているのを利用して,寒さに耐えながら勉強しました。後にこの2人は,中央政府に出仕して高官に取り立てられ,活躍していきます。これは,「蛍雪の功」という中国の故事で,卒業式でよく歌われる「蛍の光」の歌詞のもととなっているお話です。
 しかし,もともとあの歌はスコットランド民謡で,歌詞も別れの内容ではなく,旧友と再会してお酒を酌み交わし,昔を懐かしむという内容で,英語圏では大晦日のカウントダウンで年が明けた瞬間に歌われる新年ソングです。それがなぜ,日本では「蛍雪の功」を取り入れながら,別れを惜しむ歌になったのでしょう。本当のところは分かりませんが,わたしはただ単純に「一生懸命努力すれば報われる」という意味でこの歌詞がつくられたのではない気がします。むしろ,たとえいつ終わりが来ても悔いのないように今を大切に生きたいという日本人の心が,この歌に込められているのではないかと思うのです。
明後日卒業する中学3年生はもちろんですが,2年生も1年生もそれぞれの学年を終えようとしています。この1年,今すべきこと,今かかわっている人,家族,友達,先生などを大切にできたでしょうか。人生の節目を迎えるたびに,自分の歩みを振り返って反省し,そしてしっかりとした決意をもって新たな一歩を踏み出すことができればと思います。

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