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MORNING TALK

朝の心

小さな国の強さ

2015.06.18
朝の心

皆さん、おはようございます。
私の持っている絵本に、「せかいでいちばんつよい国」というものがあります。こんなお話です。
むかし大きな国があって、その国の人々は自分の国が力も暮らしも一番だと信じていました。その素晴らしさを周りの国に広め、もっとみんなが幸せになるために、大統領は周りの国を征服しようと考えます。戦いには強かった大きな国は周りの国々に戦争を仕掛け、敵の抵抗もものともせず、次々と征服していきました。そして最後に、一番小さな国が残りました。大きな国の大統領は、「こんな小さな国、放っておいても害はないが、残しておくのも気持ちが悪い」と思い、ここにも兵隊を送ります。でも、小さな国には兵隊が一人もいません。それどころか兵隊たちをお客のように歓迎します。兵隊たちはあちこちの家に泊めてもらい、その国のお話や料理、遊びを覚えて、自分の国に帰りました。そしていつの間にか、大きな国で話されるお話や遊ばれる遊び、歌われる歌は小さな国のものになっていきましたとさ。
さて、本当の強さとは、いったいどこにあるのでしょうか。
キリストは次のように教えています。「一番上になりたい人は、すべての人の僕になりなさい。」私たちはとかく、本当の強さを力の強さ、頭の良さ、成績、姿かたちの美しさと思っています。確かにそのような人たちは、周りの人たちからうらやましがられることもあるでしょう。でも、本当の強さはそこにしかないのでしょうか。自分が素晴らしいと思うものを人と分かち合うことの出来る人、相手がどんな人であろうと、兵士であろうと、乞食であろうと、仲間として歓迎することのできる人、そんな人が本当の強さを持っているといえないでしょうか。
先日、ある生徒が別の生徒に「クズ」と言っているのを耳にしました。私は非常に残念に思いました。「クズ」とは、その人を自分よりも劣った者として下に見る言葉です。つまり、大きな国の人々の言葉です。でも、ミッションスクールにいる私たちこそ、小さな国の人々の持つ本当の強さを、知るべきではないでしょうか。

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