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MORNING TALK

朝の心

徒労にかけよう

2020.02.14
朝の心

 今からもう30年近く前の話ですが、わたしは決して忘れることのできない素晴らしい言葉に出会いました。それは、あるサレジオ会の神父様が教えてくださった、その年の抱負です。その神父様は、毎年元旦に新年の抱負を五・七・五の形式で立てていたのですが、その年の抱負は次のようなものでした。

「元旦や 徒労にかけよう 正座して」

 徒労とは「無駄な骨折り」のことですから、今年は無駄な骨折りを積極的にしていこうという意味になります。つまり、別にしなくてもいいことでも、自分がすることによって誰かの役に立つ可能性が少しでもあること、自分がする義務はなくても、すれば誰かが助かること、とても大切なことなのに誰もしてくれないことや、したところで誰にも気づかれず、誰にも褒められない地味な仕事など、そういった骨折りを積極的にしていこうという決意です。

 AIが台頭するこれからの時代には、AIがあらゆる場面で徹底的に無駄を省き、最も効率の良いやり方や生き方を教えてくれるかもしれません。そんな世の中では、積極的に無駄な骨折りをしていこうという考え方を、古いとかばかばかしいと感じる人も多くなるのかもしれませんが、わたしはそれではちょっとさみしい気がします。無駄になるかもしれない、報われないかもしれない、でも誰かの助けになったり誰かを幸せにしたりする可能性が少しでもあるのなら、それにかけていく生き方をわたしはすばらしいと思います。そして、欲を言えば、周りが気づいてくれなくても、ほめてもらえなくても、それでも喜んで前向きに実行していける心の余裕があれば、世の中はとても豊かになるのだろうと思います。

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