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MORNING TALK

朝の心

己を知ること

2008.04.24
朝の心

学院の校訓「己を知り、己に克て」の中の「己を知る」ことは、ギリシャの哲学者ソクラテスの逸話(エピソード)から生まれました。今からおよそ2500年前のギリシャで活躍したソクラテスはギリシャ神殿のご託宣で「ソクラテス以上の知恵あるものはいない」という言葉を受けました。自分ではこの世の中のことをひとつも知らない愚かな人間だと思っていたソクラテスは、友人の勧めに従い、本当なのかを調べるために、アテネで有名な三人の賢人(世の評判となっている賢い人)に質問をします。「幸福とは一体何ですか」。この質問に誰も「知らない」とは言いませんでした。それぞれが答えを言います。ソクラテスはその答えの矛盾点を指摘しながら矛盾のない答えを求めていきました。それぞれが最後には何も知らないことに気づかされたのです。そこで神殿のご託宣が成就します。
ソクラテスはこれで天狗になったわけではありません。
「何も知らない」から「これを知りたい」と望み、色々なものから人は学ぼうとします。これが大切なのだ、とソクラテスは私たちに伝えます。
もし三人の賢人のように「知らないのに知っているつもりでいると、そこでその人の進歩は止まる」。「知りたい」という知恵を大切にする姿勢がないからだ。自分は何も知らないということを知っている人は、多くのものを得ることができる。このように知恵を大切にするよう勧めています。何も分かっていない欠点だらけの自分を知ること、受け入れていくことが大切なのです。
「己を知ること」は未来に向けての大切な合言葉です。

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