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MORNING TALK

朝の心

醸(かも)す

2013.11.23
朝の心

 イエス・キリストは、弱い人や貧しい人、悲しんでいる人々が虐げられたり見捨てられたりするような場面では頑(かたく)なに彼らを守り、時にはそのことに対して厳しく非難しました。中でもイエスが厳しく戒(いまし)めたのは、偽善的なおこないでした。
「人からほめられようとして、善いことを人前で行うことがないように注意しなさい」とか、「施しをするときは、右の手がすることを左の手に知らせてはならない」、「人から注目されようとして街角に立ち、祈ってはならない」(マタイ6・1〜18参照)といったことを言われています。自分の評価を上げる目的で、善行をなすべきではないということです。

 お酒や醤油を作ることを「醸造する」と言います。「醸造」という言葉は「かもす」「つくる」と書き、穀物の発酵作用を応用して、自然にじわじわと時間をかけてお酒や醤油ができ上がっていくことを指します。醸(かも)す過程では、直射日光を避けなければなりません。発酵作用は、日の当たらない所で行われるからです(『心の杖ことば365日』参照)。

 人間の徳も同じではないでしょうか。人目につかなくても、やるべきこと、あるいは人が喜ぶことを黙ってひそかに続けていくことが、その人の人間性をより豊かにし、味わい深い人間へと成長させていくのではないかと思います。

写真
写真は華道同好会の作品

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