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MORNING TALK

朝の心

死者の月にあたって

2016.11.19
朝の心

 カトリックの暦では,11月は亡くなった方々に思いをはせ,ご冥福をお祈りする「死者の月」です。さて,精神科医のフランクルは,ユダヤ系のオーストリア人だったため,第二次世界大戦中にアウシュビッツ収容所に入れられるという大変な経験をしました。周りでは多くのユダヤ人が,次々とガス室に送られ殺されました。そんななかフランクルは,強い意志をもって必死に生き延びていく人と,絶望のうちに病気やガス室で亡くなっていく人とがもつ決定的な違いに気づきます。苦しみに耐えて生き延びようとする人たちには,例外なく,そばにその苦しみを共に背負うように話を聴いてくれる人がいたのです。

 先日聖人の位に上げられたマザーテレサも,人の苦しみを共に背負うように話を聴くことができる人でした。毎日毎日インドの貧しい人たちのために休む暇もなく働いていたマザーでしたが,彼女がもう助かる見込みのない人たちのために建てた「死を待つ人の家」という施設では,マザーはやせこけた人のそばにいって一口,二口と口の中に食べ物を運びながら,その人を見つめ寄り添いました。それは,自分は誰からも必要とされていないと感じることほど苦しい飢えや不幸はないというマザーの強い信念からでした。マザーが死を待つ人の家で一人ひとりと接した時間は短いものでしたが,見つめられた人はおそらく彼女と一日を過ごしたような気持ちになり,幸せに包まれて天国へと旅立って行ったことでしょう。

 さて,便利なSNSが発達したことで簡単に多くの人とコミュニケーションをとることが可能になりましたが,その反面,本当に大切な人との面と向かった関わり方や聴き方を現代人は苦手になっているように思います。その人に寄り添い,その人の苦しみを共に背負うように話を聴く姿勢を,わたしたちも身につけられるよう努力していきたいと思います。

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