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MORNING TALK

朝の心

満ち足りた人生

2018.09.28
朝の心

先日発行された司牧部・宗教科通信「からし種」に、サレジオ会総長フェルナンデス神父の「満ち足りた人生」の話が載っていましたね。そこには、クロアチアでいつも若者たちと共にいる92歳のサレジオ会員の話と、しっかりと弟をおんぶする小柄なアフリカの女の子についての話が紹介されていました。

 総長はこのメッセージの中で、さらに二人の人物を紹介しています。一人目は、イタリアのトリノにいる94歳のサレジオ会員です。ドン・ボスコの生まれ故郷であるトリノには、いつも世界中からたくさんの巡礼者がやってきます。その都度彼は巡礼者を案内し、もてなします。たとえどんなに疲れていても!そして、毎年行われる聖母マリアの祝いのたびに「来年は天国でお祝いしましょう」と冗談で言っているのだそうです。

 もう一人は教皇フランシスコです。今年の12月で82歳になる教皇は、今でも世界中を飛び回り、多くの人に影響と刺激を与えています。自らは質素な生活をするかたわら、貧しい人や困っている人、弱い人、小さい人たちのために、今日も精力的に働き続けています。

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総長はこうした人びととの出会いを通して、自らに問いかけます。高齢にもかかわらず、彼らの力とやる気はどこから来るのだろうか、と。そして、それは愛が人生を満たす時、すべての困難や努力、犠牲、疲労はたいしたことではなくなる、という答えにたどり着くのです。

 

 マザー・テレサにも、次のような有名なエピソードがあります。

8人の子どもがいるヒンドゥー教徒の家族がこのところ何も食べていないと聞き、マザー・テレサは家族の一食分のお米を持ってその家を訪ねました。そこには目だけが飛び出している子どもたちの飢えた顔が並び、すべてを物語っています。母親はお米を受け取るとそれを半分に分け、家から出ていきました。しばらくして戻ってきた母親に、どこへ行っていたのか尋ねると、にっこり笑って「彼らもお腹を空かせているのです」と答えたのです。「彼ら」というのは、隣に住んでいるイスラム教徒の家族で、そこにも同じく8人の子どもがおり、やはり食べるものがありませんでした。その事を知っていた母親は、わずかな米の一部を他人と分け合う愛と勇気を発揮したのです。自分の家族が置かれている状況をかえりみず、分け合うことの喜びを感じていたのです。富の中から分かち合うのではなく、ないものを分かち合う、それが彼らの素晴らしさです、とマザー・テレサは語っています。

 愛のために愛をこめて人生を生きること、これこそが「満ち足りた人生」への鍵です。私たちにとってそれがどのようなものでも、奉仕、献身、愛に捧げようとしている生き方にこそ意義深く、幸福で満ちあふれ、人生の豊かさになるのではないでしょうか。

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